Topics多機能トイレ用自動ドアの安全ガイドブック

2自動ドアの安全対策

自動ドア供給者は、トイレ利用者の行動特性や不注意などにより起こり得る現象を十分理解した上で、自動ドアの個別要素に対する安全対策を行います。また、自動ドア供給者は関係者に対して自動ドアの特性、事故防止策、管理・利用上の留意事項について十分説明することが大切です。

ドアの衝突エネルギーの制限

トイレ利用者がドアに接触したり衝突した時および挟まれた時の衝撃を緩和するためにドアの運動エネルギーを制限します。そのためにドアの質量をできるだけ小さくするように提案する必要があります。

  • ドア開作動時の運動エネルギーを、5J以下とする。また、ドア開速度は0.40 m/s以下とする。
  • ドア閉作動時の運動エネルギーを、3J以下とする。また、ドア開速度は0.25 m/s以下とする。
  • J(ジュール)とは、国際単位系におけるエネルギー・仕事・熱量・電力量の単位である。
    1ジュールは、地球上でおよそ102グラムの物体を1メートル持ち上げる時の仕事に相当する。
ドア質量別の開閉速度
開作動時 閉作動時
運動エネルギー 5J以下 3J以下
ドアの質量(Kg) 開速度(m/s) 閉速度(m/s)
60以下 0.40 0.25
70以下 0.37
80以下 0.35
90以下 0.33
100以下 0.31 0.24
  • 運動エネルギー=1/2mv2
    m=ドアの質量(kg)、v=扉の速度(m/s)
ドアの自動閉じ力の制限

トイレ利用者がドアに挟まれた時の圧迫力を軽減するために、ドアの自動閉じ力を130N(ニュートン) 以下とする。

  • N(ニュートン)とは国際単位系における力の単位である(1N≒0.1kgf)。
ドアの反転停止距離

トイレ利用者がドアに接触したり衝突するリスクを低減するために、ドアの反転停止距離*を 150mm以下とする。

  • ドアが閉扉作動中に補助センサーなどの検知信号を受けてから反転開扉作動に転ずるまでのドアの空走距離。
補助光電センサー

補助光電センサーの設置高さは、床面から200~700mmの範囲とする。車いす使用者、高齢者、子供連れなどが多く利用する出入口においては、垂直方向に複数光線を設けることが望ましい。

衝突時のドア動作制限

トイレ利用者が閉じるドアに挟まれたり、衝突した時の反転動作または停止した後は低速(0.1m/s程度)で閉扉作動するものとする。通常速度で閉扉作動させる場合は、繰り返し挟まれ・衝突が発生しないように、ドア動作は人為操作によって作動させることを基本とする。また、ドアが閉じ始める時は、注意を促すために音や光で警告させることが望ましい。

ドアの手動開放力の制限

停電時に便房からの脱出が可能となるように、ドアの手動開放力は50N以下とする。

ドアの閉じ忘れ防止

ドアの閉じ忘れ防止タイマーによるドア閉扉作動を行う場合には、人や車いすがドア走行部に残っている場合があるので、補助センサーによる検知を行う。また、ドアが閉じ始める時、注意を促すために音や光で警告することや、閉速度を低速(0.1m/s程度)にするなどの対策が望ましい。

指挟みおよび引き込まれ防止

トイレ利用者がドアに指などを挟まれたり引き込まれたりしないように以下の隙間を設ける。

ドアの施錠および解錠

トイレを使用中に便房外部からドアが手で容易に開かないようにするため、ドアの施錠は便房内の閉ドア操作スイッチを操作して行う。使用後、便房内から退室する場合の解錠は便房内の開ドア操作スイッチを操作して行う。
ただし、非常時においては便房外部からの解錠またはドア操作スイッチの操作による解錠を可能とする。なお、錠前は停電時に解錠状態となる錠前を使用し、施錠力は500N以上とする。

ドア操作スイッチおよび使用中表示器

ドア操作スイッチの種類には、押ボタンスイッチなどの接触型と赤外線などを利用した非接触型のものがあるので、トイレ利用者・設置環境などを配慮して適切なスイッチを使用する。また、ドア操作スイッチ近傍に使用中表示器を配してその視認性をよくする。なお、ドア操作スイッチの色・サイズは以下の通りとする。

  • ドア操作スイッチの文字は、ドア操作スイッチの色とコントラストを強くし視認性をよくことが望ましい。またスイッチ部とその周囲の色は、識別しやすい色の組合せとする。
  • 押しボタンの形状は○または□などとし、そのサイズは幅・高さがそれぞれ50mm以上のものが望ましい。またそのボタン部はその周囲より突起したものが望ましい

■ 多機能トイレ用自動ドアの安全ガイドブック

多機能トイレ用自動ドアの安全ガイドブック [PDF版ダウンロード1.6MB]

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